2012年4月16日月曜日

学生の質問:急性期で作業に焦点を当てられるか?

先日、長期実習を控えた4年生から質問されました。

「臨床推論実習で作業に焦点を当てた作業療法を学びました。魅力を感じました。でも次に実習へ行くところが急性期の病院なので、作業に焦点を当てた介入は難しいと思います。急性期でも作業に焦点を当てて作業療法を行えるんですか?」

い~~~い質問ですね♪学生のうちからしっかり考えられることが素晴らしい!

僕の同級生からもそんな質問というか悩みを聞いたことがあります。

この学生さんにも同級生にも僕は同じように答えました。

僕はいわゆる維持期という分野でしか働いていません。

そこで出会う利用者さんの多くは、僕が初回面接で作業ニーズを聴取しようとしたときに「やりたいこととか、急に聞かれても出てこない。リハビリ(機能訓練)がして欲しい。」と話されました。今まであまり聞かれたことが無いという方が多かったのです。

急性期、回復期と当たり前のように機能訓練とセルフケアの練習に取り組んできた方が、維持期に来ていきなり「やりたいことはなんですか?」と聞かれても出てくるはずがないですよね。そりゃそうだなと思いました。

だから、多くは作業療法の説明、健康とは何か?ということをお話しすることから始めていました。

理解してご自分の作業に焦点を当てられるようになる方もおられますが、今まで行ってきた機能訓練がリハビリテーションだという概念から抜け出せない方も少なからずおられます。

急性期、回復期の機能訓練・セルフケアの練習はすごく大切だということはわかっています。回復する時期には回復に向けた機能訓練はやるべきだとも思っています。ただ、「何の為に機能訓練をするのか?」「今後どのような生活をしたいからセルフケアの練習をするのか?」などをクライエントと話し合い、目標を共有する必要があると思っています。

目標すなわち作業です。何が出来るようになりたいのか?どのように生きていきたいか?です。同じ機能訓練をしていても、作業が明確かそうでないかでは雲泥の差だと思います。

急性期の時点で確かに答えられないかもしれません。漠然としているかもしれません。元に戻りたいとだけ話されるかもしれません。それも当然だと思います。でも、ご自分の作業に焦点を当てる機会があるかないかでは全然違うと思うんです。その機会が回復期・維持期と繋がっていくんです。

急性期、回復期で作業に焦点を当てた介入をしようとするかどうか。しようとするかどうかが大きな差なのだと思います。

実際、沖縄におられる先輩OTは急性期で作業に焦点を当てた介入をされています。悩みながらもされています。前例はあるんです!

学生さんは目を輝かせて聴いてくれました。今回の実習できっと何かをつかんで帰ってきてくれると信じています。



2012年4月14日土曜日

長期実習

長期実習を控えた4年生に実技練習の依頼を受けて、先日練習会を開いてきました。

希望者のみということだったのですが、ほぼ全員いたのではないでしょうか。皆不安なんですね。その気持ちよくわかります。


依頼されたのはROM-exやストレッチでしたので、実技中心に伝えました。あと僕が必要だと思った、移乗や基本動作の介助方法を伝えました。写真のように皆一生懸命練習し、積極的に質問してくれました。さすが4年生です。

本当に良い子たちばかりです。かわいい子たちばかりです。指導者の皆様どうぞかわいがってやってください。

それにしてもやはり実習前の学生さんが気になるのは身体機能に関する技術なんですね・・・・・。もちろんすごく大切なことだと思っています。練習もしっかりやりました!

見学実習・臨床推論実習(評価実習)を経験してきた4年生の学生皆さんが求めるということは、以前の実習でも求められ、出来なかったという印象で帰ってきたということなのかもしれません。または、長期実習ではこの技術も求められるという印象を抱いているのかもしれません。直前に練習できることといったら実技のことくらいだと思っているだけかもしれませんが。

僕が学生の頃を思い返しても、長期実習前は実技練習を焦ってやっていたように思います(現実逃避している時間が長かったですが・・・)。それは長期実習前までの経験から、介入まで行う長期実習には、身体に触れる技術(機能訓練的要素)が絶対必要だと思っていたからです。実際に身体的なことについて求められるクラスメイトが多かったですから。

何度も言いますが、もちろん身体に触れる技術は必要ですし、知識・技術を持っているにこしたことはありません。

しかし、学生の段階でそんなに必要だとは思っていません。僕が実習指導で意識していたのは、トップダウンとOBPです。これが作業療法の魅力だと思っているからです。

実習とは「作業療法の魅力を肌で感じること」だと思います。一番大切なのは作業療法ってこういうことか!作業に焦点を当てるとはこういうことか!素敵だな♪と思ってもらうことだと思います。

誰も行き先のわからないバスに乗り込んだりしませんよね?行き先がわかればそこに向かって努力して方法を考えられます。学生さんも同じだと思います。目指すべき作業療法の形が見つかれば楽しく努力できると思います。僕がそうでしたから。

4年生の皆さんが「作業療法の魅力」を感じ、目を輝かせて戻ってきてくれることを祈ります。


2012年4月6日金曜日

11年目の入学式

4月3日、新たな勤務先であるYMCA米子医療福祉専門学校の入学式が、季節はずれの強風の中行われた。

教員になって初めての入学式。

この学校で入学式に出席するのが人生で2度目となった。

当たり前だが11年前の入学式の時とは全く見え方が違った。

今年の新入生は緊張しているのか、声が小さく元気がなさそうだなー。あの子は少し心配だなー、マンツーでの介入が必要そうだな。なんてことを考えていた。

11年前は自分のことで精一杯。自分が楽しく過ごす為にはどうするかしか考えていなかったように思う。(学生時代は本当に自己満足な笑いを追及し続け、たくさんの方々にご迷惑をおかけしました。今更ながら反省しております。)

教員になってみて初めてわかる教員の気持ち・責任。

先生方にあらためて感謝。

OTを目指している学生さん全員素晴らしいOTになって欲しい。自分で無理だと諦めずOTになるという夢を叶えて欲しい。学生の可能性を諦めず支援し続けたい。

バイザーをしていた時にも同じ気持ちを実習生に抱いていたが、より強く感じる。

新たな職場で、自分の非力さを痛感する毎日だが、僕に出来ることは臨床の魅力を学生さんに伝え続けることだと思っている。微力だが、この1年に全力を注ぎ突っ走ろうと思う。

僕も教員1年生!新入生の皆さん、共に成長していこうね。



話は変わるがYMCAのOT科教員の方々は、お互いがそれぞれ尊重し合っていて本当に雰囲気が素晴らしい。あまりの居心地の良さとあまりの先生方の優しさに甘えて、長く勤務したいと思ってしまう自分に鞭を打たなければいけないと思うほどだ。

本当に僕は職場に恵まれている。本当に感謝の言葉しかない。

11年目の入学式。第2のOT人生の始まりだ!