2011年7月21日木曜日

プロの技、再び



以前、紹介したAさん。2ヶ月ほどお休みされていたのだが、最近再び利用されるようになった。



久しぶりの利用だったが、以前草刈りをした部分を覚えておられ、すぐに現状を確認された。2ヶ月の間に草はボーボーだった・・・(すいません。)




Aさんは、すぐに草刈りの計画を僕に話し出し、実行する日取りを決めた。利用されてから3回目の今日が実行日だった。



写真のように手際よくバナナの枯葉と周囲の草を刈っていくAさん。弟子役の学生Nさん。一生懸命働く2人の背中はキラキラと輝いていた。




午後の1~2時間ですっかり綺麗になった。さすがプロの技。





僕はAさんに「Aさんにとって仕事とはどんなものですか?」と再び問いかけた。Aさんは2ヶ月前と変わらず、「仕事はいきがいだよ。」と満面の笑みで答えた。








大好きで、得意な園芸(草刈り)という作業をしているときにAさんは自分らしさを感じ、有能感を得るのだと思う。Aさんにとって草刈りという作業の大切さをしみじみと感じた。






さらに、Aさんの担当者会議で家族が話された言葉。




「ごきげんに通っている期間は夜ぐっすり眠れていた。」「ごきげんに通っているときは3食きちんと食べて、薬を飲み忘れない。」「精神的にも落ち着いている」などなど。







これらは作業の効果である。クライエントにとって大切な作業を出来るようにすることは、家族にも影響する。








これから、Aさんと共にごきげんと周囲の環境を花でいっぱいにするプロジェクトを実行していこうと思っている。これが地域の方々との交流の機会となれば最高だ。





学生Nさんへ




僕は今日NさんがAさんと共にしてくれたこと・・・これが作業療法だと思う。




作業によって表情や雰囲気が変わるAさんの姿を見て、たくさんのことを感じ、心を動かしてくれていると思う。





Aさんと共に顔を真っ赤にして行った、世界にひとつだけしかない素敵な素敵な作業を忘れないで欲しい。





僕はフィードバックの時の目を見て、目の前のクライエントの作業に焦点を当てられる作業療法士になってくれると確信した。

2011年7月15日金曜日

ADOCデビュー



ADOCが新聞に載りました♪


ADOCが日本中、いや!世界中に広がり・・・


「これをやりたい!」


「私はこれをやらないといけない!」


などなど、そのひとがそのひとらしい作業を当たり前に言える世の中になることを祈ります。


そして同時に、作業療法士が作業療法の魅力をめいっぱいに感じ、やりがいを持って仕事ができる世の中になることを祈ります。






2011年7月6日水曜日

作業と完治と幸せ

脳血管障害に完治ってあると思いますか?



その答えを僕にくれた、ある利用者さん(Mさん)の話。



もう3.4年前になるだろうか。




Mさんは、60歳代男性で脳梗塞により左片麻痺を呈していた。歩行に関しては、T字杖を用いて見守り介助の中、屋外歩行を安定して行うことができていた。麻痺は中等度であった。






Mさんが利用され始めてすぐにCOPMを使用し、Mさんにとって大切な作業について聴取した。




すると、左上肢の機能回復と共に「釣り」という作業が挙げられた。Mさんは笑いながら「諦めていますけどね。」と話されていた。



釣りに関してMさんは、毎週釣り仲間と共に出かけており、唯一の楽しみだったと話された。そして、Mさんは釣った魚をさばいて妻や友人に食べさせてあげることが楽しみだったと話された。(ちなみにMさんは船を所有していた。)





Mさんは釣りという作業を通して、妻や友人を喜ばしていたMさんらしさを取り戻したかったのだと思う。





僕達は、沖釣りを友人と共に出来るようになることを目標に掲げ、その為の機能訓練を行うことを決めて取り組んだ。





介入していく中で、Mさんの「釣りをやりたいけど、諦めている」という発言の裏には、以前に1度船に乗ろうと試みたが乗れなかったという経験と、機能回復を求めて県外にCI療法を受けに行ったが適応外と言われて受けられなかったという経験をしていたことがわかった。





Mさんは釣りをするにあたり、まず、釣竿をしっかり固定できるかどうか、リールを巻けるかどうかが課題だと話された。補助具も用いながら、実際に釣り竿の使い方を練習していく中で、徐々に上達していった。

僕は釣竿の操作が上手になったことを伝え、次の課題にも同時に取り組んでいくことを提案した。Mさんが次に不安に思っている課題は「船に乗ること」だった。


僕は、先輩方に相談し協力してもらい、実際に船に乗ることにした。Mさんは当日、夫婦で来られた。Mさんは「少し不安だ」と話されていたので僕も少し心配したが、実際には難なく乗船できた。さらに先輩OTの計らいでMさんは船を操縦された。



Mさんも僕達も達成感に包まれた。Mさんはこの時のことを「命の洗濯をした。」「できないと思っていた釣りが、できるかもしれないと思えた。」「諦めないといけないと思っていたものが、諦めなくてもいいんだと思えた」と語った。



その後、船に乗って見えてきた課題を話し合い、それまでと変わらず介入していたのだが、突如Mさんから「昨日、妻と友達と一緒に船に乗って釣りに行ってきた。」と話があった。



僕は驚いたが、その後二人で大喜びした。そう!これが求めていた姿なんだ!心の中で叫んだ。




そうこうしているうちに、Mさんは友達と共に2回目の釣りに出かけて、「10匹くらい釣った。」と嬉しそうに話されていた。


その後、Mさんとは実際に釣りに行って得られた課題をクリニックで練習するといった、理想的な形をとっていけた。


最終的にMさんは、「案ずるより生むが易し」「過去の7~8割釣りができれば、完全に治ったと思える。」と話され、ごきげんを卒業されていった。


Mさんは僕に「脳血管障害に完治はあり得る!」ということを教えてくれた。


そして、完治する為には作業が必要なことを教えてくれた。


作業に焦点を当てた作業療法はクライエントとその家族、僕らを含めた周囲の皆を幸せにすることを僕は確信した。

2011年7月3日日曜日

僕(作業療法士)を形作る本





ついに届きました!待ちに待ったこの本が!





作業療法の視点に続く、続・作業療法の視点!





サブタイトルは「作業を通しての健康と公正」







作業療法そのものという感じです。いや、リハビリテーションそのものと言っても過言ではありません。





作業療法は作業的公正な社会(この作業をしている時が自分らしいと思えるような、その作業を通してより健康になることができ、人として成長できるような、誰もが皆そんな作業をすることができるような世の中)の実現を理想としています。






この本の前作「作業療法の視点」は僕に作業療法の核を与えてくれました。今回は僕により深い作業療法の視点とアイデンティティを与えてくれると思います。





それが今後の臨床、将来立ち上げるデイサービスに影響していくのでしょう。





読む前からワクワクします。勉強しよっ!




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ちなみに、マーケティングの本も同時に購入しました。経営者としても勉強しますよ!しますとも!
ご心配なく。