2012年5月30日水曜日

講義への想い

先日、作業療法概論の1コマをもらって1年生に地域領域の作業療法について講義をさせてもらいました。

内容は地域リハビリテーションの定義、僕のリハビリテーションに対する捉え方、前職場で行っていた作業療法の紹介、事例、それと主任から、作業療法の歴史、作業療法理論を加えて欲しいという指示がありましたので、それも伝えました。

学生のうちから作業療法理論に触れ、作業に焦点を当てたクライエント中心の作業療法を知る機会を、より多く作りたいと思っていたのでラッキーでした。

大好きな分野をやらせていただけることは幸せです♪

作業療法理論に関しては基礎作業学で詳しくやるということもあり、さわりだけ講義したのですが、1年生の皆さんはポカーンとしてました・・・。

1年生だし、昼食後すぐの講義だし、簡単にしか触れてないし・・・なんて言い訳を考えながらも、もっとわかりやすく伝えられるようにならないといけないなと反省しました。

基礎作業学も担当させていただいているので、その時にもっとわかりやすく魅力的に伝えられるように頑張ります!

ただ、リハビリテーションの捉え方や僕が行ってきた作業療法、事例に関しては目を輝かして聴いてくれました。(眠りに落ちる子も1~2人いましたが・・・くっ!)


理論以外はわかりやすくて楽しかったという学生の素直な意見に、複雑な思いを抱きながらも嬉しかったです。次回はもっと伝わるように努力します。


やはり事例が1番伝わりやすいんですね。


僕はこの1年を通して作業療法(臨床)の魅力を伝えていきたいと思います。そうすることで、学生は基礎医学等、講義で学ぶことに意味を見出せると思うからです。

将来の臨床に全ての講義が繋がっているとわかると、楽しくモチベーションを持って日々の勉強に望めると思うのです。

また、作業に焦点が当てられる作業療法士を増やしたいという狙いもあります。

今、2年生に対して作業科学の講義もさせていただいています(3コマですが)。少しずつ、しっかりと種をまいていこうと思います。本日2度目の講義をしてきましたが、学生も理解できたようでした。


概要だけ触れるはずだったAMPSの説明に熱くなりすぎて我を忘れたことは反省します・・・・・。


講義への想い、それは1人でも多くの学生が、クライエントの為に作業療法士らしい作業療法ができること。

2012年5月8日火曜日

義妹のためのアルバム作り

ブログのタイトル通り僕は忘れっぽいので、忘れない為にも臨床のことを書き綴っていこうと思います。

Aさんとの出逢いは僕の元職場の通所リハでした。

Aさんは義妹と共に2人で暮らしており、一緒に通所リハに通っていました。

Aさんが嫁いでからずっと2人は一緒で、本当の姉妹のようでした。

仕事は一家で商店を営んでいました。Aさんの旦那さんが亡くなってからもずっと2人で店を守ってきました。

年齢の関係で店を閉め、これから義妹と共に余生を楽しもうとしている矢先、義妹が進行性の難病と診断されました。自分も整形疾患を抱えながらも少しずつ機能低下していく妹の介護をしていました。

2人が通所リハを利用されて1年くらい経った頃、Aさんは脳血管障害を患い右片麻痺となりました。

麻痺は軽度だったのですが、それまでAさんが役割(Aさんにとっていきがいでした)としてもっていた義妹の介護が出来なくなりました。

毎朝義妹の為に水を飲ませてあげることはかろうじて行っていましたが、それまで義妹の身辺動作の大半を介助していたAさんには、水を飲ませるということだけでは役割として満足できませんでした。

僕はAさんと話し、義妹の為の料理作りを練習していましたが、そのうちに義妹の状態はどんどん悪化していきました。

日に日に固形のものを食べられなくなる義妹を目の当たりにして、Aさんは自分の役割は無くなったと感じていました。

Aさんは僕に「もう義妹はご飯も食べられなくなってる。私は何もできない。毎日悩んで眠れない。」と話されました。

僕はAさんにしかできないことがあると思いながらも、何も提案できずAさんと共に悩みました。

師匠やスタッフに相談していく中で、義妹の為に想い出のアルバム作りをしてはどうかという案がうまれました。誰かの為に何かをしてあげるのがいきがいな、Aさんらしさを考えた上での提案でした。

Aさんに話すと「それはいいね!やろう!」と言ってくれたので、Aさんと姪っ子さんにお願いして昔の写真を持ってきてもらいました。


Aさんは「きっと義妹が喜ぶはずよ」と話しながら、義妹の為に一生懸命アルバムを作成しました。

義妹の容態は悪化し、ゆっくり2人でアルバムを眺めることは出来ませんでしたが、Aさんは「喜んでくれた」と話されていました。

Aさんに再評価でとったOSAーⅡの結果、作業同一性、作業有能性共に改善していました。

作業の形は変化しても作業の意味が満たされているならば、自分らしさを感じられるのだと教わった事例でした。

何の為に、誰の為にやりたいのかを共有する中で何をやるのかは見えてくるのだと思います。琉球OTさん、tomoriさんのブログを拝見して尚更強く思いました。