2011年6月14日火曜日

ADOC

今月の24日~26日に開催される全国作業療法学会in埼玉で発表するスライドを作成している。

いつも追い込まれてからしか動けない自分・・・。

まーそれはそうと、内容は現在プロジェクトチームで作成中のADOC(作業選択意思決定支援ソフト)についてだ。

ADOCとは、ipadを使ってクライエントとイラストを見ながら「したいこと、しなければならないこと、より上手になりたいこと、周囲から期待されていることなど」目標設定をするツールだ。これを用いることによって、「麻痺した手を治したい」「もっと歩けるようになりたい」など漠然とした機能面の目標ではなく、クライエントが望む作業を目標とできる。作業が明確になるということは、ゴールが明確になるということだと思う。

手を治したい・・・(治るのなら良いが)それは、発症前と同じ状態を目指して一生訓練の人生にしてしまう可能性がある。しかし、作業が目標であれば、片麻痺であろうが、頚髄損傷であろうが、やり方の工夫によって作業を行うことはできる。

ずっと機能面に焦点を当てて、先が見えない機能訓練をし続けるよりも、自分のやりたいことをやって生きるほうが幸せなのではないかと僕は思う。病気になっていない僕が偉そうに言えないが、この想いは作業療法士としての信念だ。

今回、発表する方は16年前(40歳代)に発症されて、夫が遊び人だったために片麻痺の状態で娘4人(下の子が当時小学校低学年)を育てた方だ。退院後、娘を育てる為に試行錯誤しながら家事などを1人で行えるようになった。

初期評価での面接では、「身の回りのことはできているから、何もしたいことはない。」と話されていた。僕は、この方の生活歴(発症後の16年)によって、家事等に焦点を当てざるを得ない状況で、余暇などを考える余裕がなかった(だからイメージもできない)のではないかと思ってADOCを使用した。

すると、娘と行くドライブが好きなこと。娘と昔に旅行に行ったことが忘れられないこと。発症前は友人とよく外食をしていたが、発症後は友人の手を煩わせるのではないかという不安で16年間一度も友人と会っていないこと。しかし、友人とは今でも会いたいと思っていることがわかった。

片麻痺になって、16年間・・・自分の楽しみも忘れて家事が出来るようにと必死になって生きてきた事例(昔のリハビリでは、家事の練習などはほとんどされていなかったらしい。だから事例は自分で練習するしかなかった)。

これからは事例がやりたいと思うことに挑戦していって欲しい。出来るようになって欲しい。

現在は年に2回の県内旅行と週に2回の買い物に行けるようになっている。事例も満足だと話されている。

最終目標は、事例が自信を持って、また好きな時に友人達と外食すること。

クライエントの大切な作業を可能にする第一歩!        ADOC!!!

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