2011年11月2日水曜日

恩師の遺志を受け継ぐ為に~第1回YMCA作業療法学術集会~


10月9日(日)に母校で第1回YMCA作業療法学術集会が無事行われました。

想い起こせば同期生で集まって学会を開こうと言って始めたのが5年前でした。

僕の印象でしかないですが、OTとして2年目から3年目という時期は何か分かれ道のような気がしていました。ファシリテーションテクニックに固執していくひと・業務に慣れ、ただ坦々と業務を遂行するひと・クライエント中心の作業療法を実践するひとなど、全ての要素のバランスがとれていればいいのですが、就職した環境によってどこかに偏っていってしまう。そんな危険性を含んだ時期のような気がしていました。

本当に幸せなことに、当時から僕は師匠たちのおかげで様々なことをバランスよく学ばせていただいていました。作業科学・CMOP・MOHOなどのメタ・大理論からファシリテーションテクニックのことまで幅広く学ぶ機会をいただいていました。だからこそ、尚更理論の大切さを感じましたし、OBPの大切さを感じることができたように思います。(言うまでもなく、現在も勉強中です。)

こんな気持ちを同期生と共有したかったし、OBPの魅力をもしまだ知らない同期生がいたなら伝えたい、一緒に成長していきたいと思ったのが同期生学会の動機でした。

このような同期生学会に賛同してくれて、毎年多大な協力をしてくれたのが、亡くなった恩師のK・S先生でした(ブログの一番最初に書いた方)。

毎年「お前たちはクライエントの為に闘っているのか?」と説教してくれました。本当にストイックにクライエント中心を貫く先生でした。

そんな先生の生き様ともいうべきクライエント中心の作業療法を、僕たちは同期生だけでなく在校生にも伝えていけれたら母校への貢献になるのではないかと思い、僕のところへ来た実習生を通じて広報していました。そのような小さな働きかけのみだったので、毎年集まる人数は10人ほどでした。そんな時、もう1人の恩師H・S先生に「すごくいい取り組みだから、同窓会を通じてもっとたくさんの人と共有したら?」という一言をいただき、今回の全卒業生・在校生に働きかけた学術集会へと繋がりました。

昨年まで10名程だった参加人数が、今回はなんと42名に増加しました。参加人数は関係ないと解っていながらも嬉しい限りでした。その中には、学術集会開催のきっかけとなる一言をくれたH・S先生も夫婦で参加してくれました。

前置きが大分長くなりましたが、学術集会は下記のプログラムで行いました。

1.開会の挨拶
2.特別講演 亡くなった恩師の奥様
→夫の死を作業療法士の視点で捉えて発表いただきました。亡き夫の作業・道具によって亡き  
  夫と繋がる という大変興味深い、貴重な体験をお話いただけました。
3.特別講演 K先生:「作業療法におけるコミュニケーションスキルについて」
→お笑い芸人やアイドルの話を交えた楽しい講演の中に、密かにコーチングなどのテクニックも 
入っていて、本当に楽しい講演でした。「クラスでいちばんのことが 1つでもあったとしたら 世
界一になれるかもしれないよ できちゃうかもよ」
4.演題1 Fさん:「仕掛けから見えてくること」
→日本一有名な大規模デイサービスY村のシステムの中で、Fさんが作業療法士としてどのよう
に考え、介入しているのかがよくわかる素敵な発表でした。作業科学の視点が満載でした。
5.演題2 Fさん:「回想コミュニケーションを通しての作業慮法介入」
→老健でFさんが介入した事例を発表してくれました。認知症の陽性症状が著明だった方の作業 
を見つける為に回想コミュニケーションというツールを使って作業を導き出し、作業を用いて介 
入することで陽性症状が治まり事例は安定したという素晴らしい発表でした。
6.特別講演 T先生:「学問のススメ」
→教員をしながら大学院に通われて博士号をとろうとされている先生です。ストイックに勉強に打
ち込まれる姿に心打たれました。自分はまだまだ勉強が足りないことを教えていただけました
し、勉強に対するモチベーションを高めてもらいました。
7.演題3 Wさん:「終末期のリハビリテーション」
→Wさんの持つたくさんの人脈等の資源を活かし、クライエントがクライエントらしくあり続ける為に周囲を巻き込んでいく様子に圧巻でした。クライエントの素敵な笑顔が印象的でした。
8.演題4 Aさん:「通所リハにおけるCOPMの導入過程で見えてきたこと~向かうべき方向・目的・活用について~」
→COPMを用いて他職種とクライエントの目標を共有すると共に通所リハとしての効果判定もしようと試みているそうです。クライエントの作業ニードの可能化に向けて全スタッフがそれぞれの専門性を活かして介入するという理想の形がそこにありました。
9.演題5 H(私です):「クライエント中心の作業療法~ADOCの紹介~」
→今回、ADOCプロジェクトのメンバーとしてADOCの紹介をしてきました。ご協力いただいたtomoriさんありがとうございました。発表するたびにADOCのことをより深く学べるように感じます。スライドの中で琉球OTさん、侍OTさんの事例を紹介させていただきました。本当にありがとうございます。作業療法士らしい作業療法とはこういうことなんだなといつも学ばせていただいています。皆さんにうまく伝えられたかどうか心配ですが、スライドを見るだけでADOCの魅力は十分伝わったと思います。
10.閉会の挨拶

このような内容で第1回YMCA作業療法学術集会は幕を閉じました。

本当にすっごく楽しかったです!内容濃かったです!皆、クライエント中心で作業に焦点を当てた介入をしていたので、ほぼ徹夜の状態なのにずっとテンションが上がりっぱなしでした。

余談ですが、琉球OTさんのブログを読んでOTになる道を選んだ学生さんに出会いました。なんか不思議な繋がりを感じて感動しました。

K・S先生、天国から喜んでくれているでしょうか?先生の遺志は受け継がれていってますよ!

3 件のコメント:

  1. 意志を引き継いだことを、天国の先生も、奥さんも、
    きっと喜んでいるでしょう。
    いつも、何のため、誰のため、自分の何のためと考えていれば、
    つながりに敏感になるとボクも思います。

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  2. 先日はお疲れ様!
    やってて、聞いてて、本当に勉強になったよ!
    ほんとうにありがとう!
    きっと先生も「一回目、君たちにしてはまぁまぁじゃないですか?でも、これからが本番ですよ。クライエントのためにあなたたちができることをやりなさい。Any Question?」と言ってくれてそう(^^♪

    鳥人さんがつなげる次の世代に、恩師の遺志をしっかり引き
    継いで伝えていきましょう(^^♪

                          Ari

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  3. uezuさん
    いつも先生から問われる「何のため?誰のため?」に成長させてもらえます。本当にありがとうございます。

    Ariさん
    コメントありがとう!こちらこそいつもいつもありがとう!共に頑張っている仲間がいてくれることが、僕の支えになっています。Any Question?懐かしい!本当、先生を想い出すね♪しっかり伝えられるように日々精進します!これからもよろしくねー♪

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