2011年6月5日日曜日

自分らしさ

担当さしていただいている70歳代女性Aさん。

個別リハビリをしながらAさんの人生史を聴いていた。

20代で結婚して6人子どもを授かった。

しかし、夫は昔から遊び人だったようで、1人目の子が産まれてからすぐよそに愛人を作ってほとんど帰ってこなくなった。さらに驚くことに夫は生活費・教育費など、一銭も家庭に入れない人だったそうだ。

生活や子どもにかかるお金は全てAさんが稼いでいた。仕事はラブホテルの受付を夕方8:00から朝の5:00まで行い、その帰りに新聞配達をしていた。おうちに着くとすぐ子どもの弁当を作り、子どもを送り出した後は掃除洗濯を毎日行った。睡眠時間は毎日2時間だった。

1度だけ夫に子どもの教育費だけは入れて欲しいと頭を下げたそうだが、断られたということだった(その後はさすがに怒って、棒を振り回して家から夫を追い出したらしい。素晴らしい!)。

さらに、認知症になり入院生活を送っていた義母をの世話をする為に病院に寝泊りもしたそうだ。

Aさんのすごさは留まるところを知らず、病院に寝泊りしている時に、看護師に混ざって入院患者の入浴介助をしたり、トイレ掃除をボランティアでやっていたということだった。入浴介助は入院患者に頼まれたからやったそうだ。頼まれた理由は、「看護師よりも丁寧に洗ってくれるから。」だったらしい。

ここまでの話を聴いて僕はAさんが天使だとしか思えなかった。こんなにもホスピタリティに溢れている人がいるなんて・・・。いや!もう1人僕は知っている。この方も僕が担当させていただいた利用者さんだ。昔の女性はかくもこう強いのか・・・。

そんな僕の感動はさておき、僕はAさんに「どうしてお仕事をしながら、大変な中ボランティアでそこまで人に尽くせるんですか?夫も信じられないくらいひどい状態で、苦しくなりませんでしたか?」と聴いた。

するとAさんは「大変だったけど、苦しくはなかったよ。頼まれたことだしさ。私は義母が亡くなって仕事は定年した後、地域で1人暮らしをしている老人の家をまわって、ボランティアで掃除とかの手伝いをしようと考えていたのよ。この病気になってしまったから出来てないけどね。」と答えた。

僕:「Aさんはボランティアをやるなかで、どんなことがやりがいだったり楽しみだったりしたのですか?」

Aさん「人が喜んでくれるからかな。誰かの為にやることが好きだから。」

ここで僕は、いつかごきげんで出来たらいいなと思っていたことを実現できると思って、口に出してみた。

僕:「では、もし可能ならごきげんで働きませんか?さらにできればボランティアではなく、バイトという形で。」

Aさん:「できるならいつでもやるよ。やりたいよ!」

本当にすごい人です。天使です。ちなみにAさんの余暇(楽しみ・趣味と聞きました)はボランティアや働くことだそうです。

僕はすぐ上司にお願いしに行きました。そして上司から企画書を書いてとの指令がありました。

Aさんが考える自分らしさ・・・「誰かが喜ぶ為に働く存在」を再獲得するために企画書を練ろうと心に決めた。

0 件のコメント:

コメントを投稿