2011年4月13日水曜日
医学モデルという障壁
現在1名の実習生を担当している。フィードバック中、その実習生からの質問。「全利用者さんの疾患を知りたいのですが、教えてください。」良くある質問だ。決まって僕は答えるようにしている。「なぜ疾患を知りたいの?知ることでどのように活かされるかを教えて欲しい。」作業療法士は作業に焦点を当てる。クライエントの作業ニードを聴き、その作業の可能化の為に介入する。そこに脊損だとかCVAだとか精神疾患だとかは関係ない。もちろん作業可能化の為の一要素としては知っておかなければならないかもしれないが、疾患が優先してしまってはいけない。疾患ありきで、人を評価してしまう可能性が高いからだ。実習生の頃、よく師匠に言われた。「『右片麻痺のAさんじゃない、Aさんは右片麻痺という障がいをお持ちだ。』という見方をしよう。」人を見るという視点を忘れてはいけない。きっと学校で習った疾患別の障がい像に当てはめることで、利用者さん方を理解していこうとしたのだと思う。しかし、疾患を通してわかることなんて、クライエントを構成する一要素でしかない。その一要素に目を奪われて、本当に大切なスピリチュアルの部分を見失ってしまったら、作業療法とは言えないと僕は考えている。基礎を中心に教えている学校側にとって、また国家試験をどうしても意識しなければならない学校側にとって、これをしっかりと学生に伝えることは難しいことなのかもしれない。だとすると、尚更実習中に強く伝える必要性があると僕は考えている。実習の中で、クライエントを通してのみしか、経験することができないのだから。実習生は困惑しながらも納得したと話していた。うまく伝わっているといいな・・・・・。
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